今日は運転手で


「・・・答えなくても、わかる反応だな」

あきれられる。

「・・・周防さんだって、断るでしょう?」

「さあ、どうだろう。年齢はひっかかるけど、見た目は嫌いじゃなかったかな。それより、今のほうが、中身がわかりすぎてて、断りかねないけど」

周防のしゃべる間に、ものすごい期待が沸いて、直後に、失望で打ちのめされた。

わかってんのかな、このヒト・・・。自分の発言が、あたしの喜怒哀楽をこんなに振り回してるって。

「・・・疲れるね」

「何が!?オレが!?」

「・・・うん。って、あたしが全面的に悪いんだけど」

がらりと感じの違う店にたどり着く。

そこで、店頭の靴にひきつけられた。

いい感じ。

手ごろな値段だし。

・・・って言っても、懐が痛まないわけじゃない。

今のあたしには、バイトの収入しかないから。

「・・・買ってあげたら、怒られるんだよね?」

「これくれい、自分で買えます」

「・・・じゃあ、何で、玉の輿、狙うんだろうね」

「それは、母の勝手な計画」

「断わればいいのに」

「興味があったんだもん。初めは」

「初めだけ?」

「あとは、断らなかったら、周防さんに会えるから」

気に入ったその靴を持って、レジに向かう。

ヒールにサヨナラして、買ったばかりの靴に履き替える。

「嬉しい。歩きやすい」

しゃがみこんで、何かに見入っている、周防を見つける。

その視線の先には、簡単なツクリのサンダル。

でも、どうも、それを熱心に観察しているわけではないみたい。

「おまたせしました」

周防が顔をあげる。

「あ・・・うん」

立ち上がる。

「あ、背の差が増えちゃったね」