今日は運転手で

「さっきの電話、彼女から?」

何か考えていたみたいで、あたしの質問を聞いてない。

はっと我に返ってあたしを見る。

「彼女からの電話だったの?って訊いたんだけど」

「えっ、ああ、さっきの?まあ、彼女というか、彼女ってほどでもないって言うか。・・・オレが距離を置いてるからなあ。休みの日、ちょくちょくキヨシの世話をしないといけないから。・・・そうか、それもなくなるんだな」

「開放されて、嬉しい?彼女、出来るよ」

「う~ん・・・どうなんだろう。なんだかんだ言い訳して、今の状態に甘んじてたいだけだったのかもしれない気がしてきた。全く女っ気ないのも寂しいし。でも、自由に解き放たれていたいし」

「我がままなんだ。その彼女候補、かわいそう。そっちも解き放ってあげればいいのに」

「そうだな・・・悪いよな、いつまでも。でも、女っ気が・・・」

本気で、あたしを意識の外に追い出して悩んでいる周防。何か、頭にくる。

この人の頭の中のオンナのリストに、あたしは本当に微塵も入ってないらしい。

『キヨシ』だしな。

「はいはい、あとでゆっくり悩んで」

華奢じゃない、腕をつかんで、むりやり組む。

「とりあえず、帰ろう」