彼女、だったりして。
ふと思う。
今まで、訊いた事がなかった。
あたしなんかの運転手を、しぶしぶながらもやってくれているくらいだから、当然フリーなんだと・・・思い込んでた。
不覚だった。
よくよく考えたら、あたしの好みのど真ん中じゃないだけで、世の女の子には、ああいうタイプが好きなヒトだっているハズなんだ。
でも、誰かから電話なんて、初めてだ。
もしかして、最近、彼女が出来たとか・・・
足音を早めて、ロビーに向かう。
手近のソファーに乱暴に、身を沈める。
でも、だったら、今回は運転手を断るんじゃないかな。
いや、言ってたじゃないか。
周防は母に逆らえないって。
「あの・・・」
堂々巡りな思考に取りつかれていたあたしは、驚いて顔を上げた。
「香川清香さん?」
なぜあたしの名を!?
じっと、彼の顔を見る。
何だか見たことがあるような気がする。
「僕、山野です」
あっ、ああっ!!
この、かわいい感じの顔。
スラリとした体つき。

