今日は運転手で


友達も、やる。

多分、万人がやる行動。

いつもは、周防が振り返る邪魔にならないように、ドア側によける。

でも、今日は何か、自爆行為をしてみたくなる。

そのまま座席に張り付いて、身をよじる、周防の邪魔になる。

後ろに視線をやっている、周防の体がすぐそばにある。

車が止まって、周防がそのまま視線を落とす。

まともに目が合う。

「何?」

周防が戸惑う。

自分がどういう表情なんだかわからない。

「・・・まあいいや、ついたよ。降りて」

「・・・うん」


駐車場から近い入り口から、中へ入る。

フロントに続く廊下。

「あ、ごめん、先行って、どこか座ってて」

ポケットに触れながら、言う。

電話なんだ。誰かから。

うなづいて、周防を残して歩いていく。

ひんやりした廊下。

はき慣れない、不規則なヒールの足音。

足音を途切れささないように、振り返る。

周防が、声を潜めて、誰かと会話している。