今日は運転手で


戦闘服かあ・・・

いつもの自分を包み隠して、最大限に良く見せる。

これで相手を騙せれば・・・

いや、騙されてくれって。

「中まで、ついてきてね」

「おかしいだろう。身内でもない男が送り届けてちゃ」

「だって、実際にそうなんだし」

「まあ、そうだけど」

周防宿泊中とはまた、違うホテル。

ここで、会食することになっている。

「じゃあ、車、止めて来なきゃ。先降りてる?」

「嫌。だって、あんなところにひとりで放置されたくない」

「あんなところって・・・」

「ホテルのロビーってきらびやかじゃない。何か、居辛いんだもん」

「・・・はいはい」

ホテルの正面玄関を素通りして、駐車場に向かう。

スペースを見つけて、いい位置につけ、車をバックさせる。

運転で、性格が出るっていうけれど、周防の場合はよくわからない。

色々と、乗っているあたしに気を使った走り方をしてくれる。

それに、無駄がなくて、スマートだ。

自分のベルトをはずして、助手席との間から振り返る。

バックモニターついてるんですけど。

な行動。

自分の目で見ないと気持ち悪いらしい。

体をひねりやすいように、助手席のシートの後ろに手を回す。