ネクタイを巻いて、前の輪に通す。
「あ、わかった。今日の相手は気乗りしないんだ」
何を言って・・・
目を上げると、周防の目が待っていた。
ちょっと、あたしをからかう意思の、交じった目。
かわいいって感じには遠い、あたしの好みじゃない顔。
好みのハズじゃない顔、かな。
でも、けっこう綺麗に作られたパーツでできていて。
目元も、悪くない。
冷静に、観察しているくせに、目が合っちゃってることで、あたしの態度は甚だしく動揺している。
挙動不審で、怪しい限り。
どっ、どうしよう。
「何?どうしたの?」
ほら。
謎がられてる。

