ふっかふかのじゅうたんを踏みしめながら、あたりを見回した。

『唯一の趣味』とか言いながら、こんな感じのホテルに、しょっちゅう泊まっちゃえるって、本当に、ヤツはお金持ちなんだな。

ホテルって、あたしだって、いろいろと家族旅行なんかで泊まったことがある。

きれいな外観で、きれいな部屋、だけど、働いている人がいまいちなところもあれば、逆に、めちゃくちゃ安い宿なのに、働いている人のスキルとかが半端なくかっこいいところもある。

そういうとこの、ここは、いいとこ取りをきっちりしちゃっている、本当に、良い、ホテルなのだ。

こういうとこを、見極めながら、高い料金払えちゃっている…

ヤツは、そういう奴で、そうでありながら…

「あ、ここだ」

あたしは記憶してきた部屋の番号を頭の中でもう一度照合した。

うん、ここだ。