この声を聞き逃すことのないよう、全身全霊、賢司の歌声に耳を傾けた。
――思い出の曲。
文化祭シーズンの頃にリリースされたこの曲は、準備期間中、常に校舎に流れていた。
あのとき、教室の飾り付けやみんなで着るTシャツの手配を二人で担当したっけ。
色はもちろん、デザインも自分たちで考えた。
賢司も覚えていてくれたんだぁ。
ただそれだけで、嬉しくて……。
涙が零れ落ちそうだった。
「どうだった?俺の歌」
「よかったよ」
「それだけかよ!もうちょっと褒めろよな!」
大袈裟に落ち込むような顔をしたけど、すぐに笑ってクシャクシャと私の頭を撫でた。
ドクンドクン…ドクンドクン……
さっきよりも、数倍速い胸の鼓動。
ただ、髪の毛を触れられただけなのに。


