「じゃあ、行ってくるね」 「うん。今日、ご飯どうする?」 「うーん、分からない。遅くなるかもしれないけど、一応、用意しといて!じゃあ、行くわ!」 「行ってらっしゃい」 「行ってきます」 ――バタンっ。 玄関のドアが閉じられた。 ここから、また長い1日が始まる。 きっと…… 今夜も、遅くなるに違いない。 リビングへ戻り、手付かずの料理を目にして、また溜め息が洩れる。 半熟の目玉焼きにフォークを突き刺すと、じわじわ…っと、黄身が流れだした。