今、冷静に考えてみると……
結婚してから相手に求めてばかりで、自分からは何も与えようとはしていなかったような気がする。
不平や不満も、それは幸せな証拠。
ぬるま湯に浸かりきって、感謝の気持ちを忘れていたのは、私の方かもしれない。
こんなにも私を大切に思い、妊娠を心から喜んでくれる人を、私は心の底から信じていなかったのかもしれない。
愛されている実感が湧かなくて、私は逃げ道を作ろうとした。
でも、それは『同窓会』という異空間が作り出した、一夜限りの淋しい思い出だった。
拓也を捨てて、そして、お腹にいるこの子を捨ててまで、私は賢司の元へ行こうとは思えなかった。
――できなかった。
長年の想いがカタチを変えて結実したけれど、これ以上、私の中で花を咲かせることはない。
――終わった。
もう終わったのだ。
淡い青春時代に思いを馳せ、現実とごちゃ混ぜにした感情を抱くことは……。


