祖父は、明るく元気な人で、母を頭に四人の子どもを育てた。


祖父一代で築き上げた運送会社も、今では、有限会社から株式会社にまで成長した。


そんな祖父が亡くなったのは、今から13年前。


誰もが予測しない、あっけない死だった。


突然、脳梗塞で倒れ、そのまま意識が戻らず、二日後に永眠した。


中学生だった私は、人知れず大泣きした。


『苦しまずに済んだから、よかったよ』と、亡骸に優しく手を添えた祖母の姿が今でも印象に残っている。


身近な人の死を体験したのは、そのときが初めてだった。


そういうわけで、今日は拓也と二人、朝から母の実家を訪れていた。