ピピー…ピピー…ピピー… 明るいリビングに、キッチンからお湯が沸いたことを報せる機械音が鳴り響いた。 ――トンッ。 読みかけの雑誌をローテーブルに広げたまま立ち上がると、リビング脇にあるキッチンへと向かった。 点滅している電気ケトルのスイッチをOFFにして、用意していたティーポットにゆっくりと渦を描くようにお湯を注いだ。 「んー、いい薫り」 たちまち、リビングはアップルティーの優しい薫りに包まれた。