「ちょ…やめてよ!」
そんな抵抗など、無駄に等しかった。
拓也の身体を払い除ける力など、私には備わっていない。
されるがまま、なすがまま、拓也に弄ばれた。
拓也に抱かれながら、私は、あの人を思い浮かべた。
賢司なら……
賢司なら、どんなキスをしてくれるのだろう。
賢司なら、どんなふうに抱いてくれるのだろう。
賢司なら―――…。
一度も肌を合わせたことのない賢司を拓也に重ね合わせ、身を委ねた。
だんだんと雨音が強くなってきた。
それに合わせるかのように、拓也の呼吸も荒さが増してきた。
やっぱり、明日は台風が直撃するのかな……。
ぼんやりと、そんなことを考えていた――。


