愛のカタチ

『珈琲館』を出る頃には、だいぶ雨脚も強くなってきた。 



お気に入りの傘を広げるも、風に圧されて身体ごと押し戻されてしまう。 



ようやく辿り着いたタクシー乗り場は、長蛇の列だった。



人でごった返す中、最後尾を探し当て、身を置くと、バックからさっきのメモ用紙を取り出した。



自分からは聞けなかった電話番号とメルアド。 



久しぶりに賢司と話したい……。


もう一度、賢司に会いたい……。 


心の片隅に、賢司が棲みついていたのも事実。



でも―――…。 



タクシーに乗り込んで行き先を告げると、運転手は世間話を始めた。



適当に相鎚を打ちながら、心の中は、すべて賢司に支配されていた。



気持ちが交錯する中、握り締めていたメモ用紙を広げた。


しばらく凝視したあと、取り出した携帯電話に、親指が『賢司』という名前をアドレス帳に書き込んでいた。