『珈琲館』に着く頃には、ポツ、ポツ、と小さな粒の雨が降り出した。
さすがに、この天気の所為か、道行く人たちも傘を持ち合わせており、だんだんと色とりどりの花が開き始めた。
待ち合わせ15分前。
約束より早めに着いたが、店の中で待つことにした。
店内に一歩足を踏み入れると、たちまち淹れたてのコーヒーの薫りに包まれた。
「いらっしゃいませ。お一人様ですか?」
「いえ、あとからもう一人来ます」
「畏まりました。では、こちらのお席へどうぞ」
窓側の席に案内され、腰を下ろすと、運ばれてきたメニューからアイスラテを注文した。
いくらか暑さが凌げるようになってきたものの、9月とはいえ、まだまだ蒸し暑い日が続いていた。
迷わず、冷たい飲み物で喉を潤したくなった。
長袖を着るのは、まだまだ先のことになりそうだ。


