その空気を破ったのは、他でもない、賢司だった。
「どう?大丈夫?」
「うん」
「そっか!…なら、よかった! そろそろ帰ろうか?」
「うん…」
賢司に促され、脱いでいたパンプスを履いた。
…痛っ。踵に少し触れただけで、ズキッと激痛が走った。
「大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ!」
痛みで歪む顔を隠しながら、平静を装った。
「じゃあ、行こう!」
さりげなく差し出された手を、一瞬、躊躇いながらも掴んだ。
小さな私の手を包む、
温かくて大きな賢司の手。
グイッと引き上げられ、立ち上がると同時に、ギュッと抱き締められた。


