愛のカタチ



賢司が、自分のことを話すのは珍しい。 


サッカーに対して、熱く語っていたことはあるけれど、人生観を聞くのは、これが初めてだった。 


彼なりに悩みを抱え、真剣に向き合っていたことを知り、賢司も一人の人間だったんだ…と思い知らされた。 


私は“完璧な賢司”しか、今まで知らなかったから。


そうした弱い部分も抱えながら、一時(ひととき)でも、私に曝け出してくれたことが素直に嬉しかった。 


「真理は、悩んでいることなんてないの?」


「………」


悩んでいるつもりはないけれど、満たされない日々に不満は抱えていたのは事実。 


でも、そんなこと…… 


賢司に話せるはずもない。