「――真理!」 


突然、呼ばれた愛しい声に、瞬時に身体が反応した。 


振り返った先には――
 

スーツの上着を肩にかけ、シャツの胸ポケットにネクタイをしまい込んだ賢司がいた。


まじまじと見つめてしまう、賢司のスーツ姿。 


着こなしの中にセンスが感じられる。


学生服姿もとても似合っていたけれど、私の知らない10年を過ごしてきた、今の賢司も眩しく映る。 



10年――… 


この年月を取り戻すことができたなら……。 



二人の間の空白の時間 



あなたは、何を想い、何を考えていたの…?