「真理には、感謝してるよ」
「……ん?なんで?」
「夢は叶えられる、と教えてもらったから」
「いや、私は何も……」
実際、保育士になるという夢は実現したものの、結婚と同時に退職した。
わずか、5年の在職だった。
賢司は、黙って首を横に振った。
「実は俺、もうすぐアメリカに転勤するんだ。今、携わっているプロジェクトの責任者を任された」
「…アメリカ?……転勤?」
「あぁ。で、アメリカに行く前に、どうしても気持ちの整理をつけたくてさ、今日の同窓会に参加したんだ」
「……気持ちの整理?」
「あぁ。どうしても、真理に伝えたいことがあったんだ」
転勤…アメリカ…テンキン…… ぐるぐると賢司の言葉が谺する。
半ば、放心状態で話を聞いた。


