「サッカー部の方を見てたんだよな。すぐに分かったよ!」
賢司は続けた。
私がサッカー部の誰かを好きで、部室から眺めていたのだろう、と。
サッカー部の中でも、自意識過剰な奴が、「山本真理の好きな人は俺だ!」と言っていたことを。
そして、私の目にはっきりと映るように、賢司が懸命にプレーしていたことを。
……知らなかった。
……何にも知らなかった。
はしゃぎながらボールを蹴る木場くんや松本くんの姿に、あの頃を重ねる。
あんなに一生懸命にボールを追い掛けていたら、私のことなんて、目に入るはずなんてないのに……。
賢司は見ていてくれたの?……私のこと。
胸がキュンとなった。


