「雪菜ッ!!」

帰りの準備中、由梨がやってきた。

「あ、由梨…どうしたの?」


私は由梨が嫌い。


大っ嫌い。


多分この世で一番。


「今さァ、欠金なわけ! ここまで言えばわかるだろ?」

「また…?」

「はァ? またってなんだよ! 貸さねェつもりかよッ!!」

由梨は怒ったように言う。

由梨は口が悪い。

短気だし。

「貸すけど………」

「だったら早く貸して。急いでるんだから!」

「うん…」

私は、頷いて財布から3000円とりだした。

「これだけかよ……なんか毎月毎月減ってってるなぁ」

由梨は、わざと私に聞こえるような声で独り言を言いながら教室をでていった。