部屋を出ていこうとする兄の背中を見つめながら幸子は考えた。

兄が何かを知っているはずもないけれど。

けれど自分の考えを誰かに同意して欲しかった。

「ねえ兄貴」

「ん?」兄が振り返る。

何故だか緊張して声が上擦った。

「金城先生と芹沢一って、あやしくない?」

笑われるかも、しれない。
何馬鹿なこと言ってんだと呆れられるかもしれない。

けれど聞きたかった。