母がすぐに帰って来るとも思えない。
前から故郷の国へ帰りたいと口癖のように言っていた母は、下手をすると日本にすらいないかもしれない。
家のドアを開けるときのやる瀬ない気持ちをどう説明していいのかわからない。
弟のことは可愛いと思う。家を出て、施設に行きたいだなんて思わない。
けれど家へ帰るのがどうしようもなく苦痛だ。
今なら家に帰らなくなっていった親父の心境がわかる気がした。
あんな男だけにはなりたくないのに。ヘドが出る。
玄関のドアを開けた瞬間、いつもと何かが違っていた。
一が訝しみながらリビングに入っていくとソファに座っている弟が嬉しそうな顔で何かを頬張っていた。
「おい。何食ってんだよ」
一はテーブルに目をやる。
小さなテーブルの上にはおにぎりと味噌汁、それからサラダとエビチリが乗っていた。
どれも見覚えのない器に盛られていた。
「タク、どうしたこれ。誰が持って来た」
一はやや責めるように弟を睨みつけて言った。
弟は慌てて口の中の物を飲み込むと、一の様子に表情を曇らせた。
「お前うちのこと誰かに話したのか?話すなってあれだけ言ったのに忘れたのかよ!」
前から故郷の国へ帰りたいと口癖のように言っていた母は、下手をすると日本にすらいないかもしれない。
家のドアを開けるときのやる瀬ない気持ちをどう説明していいのかわからない。
弟のことは可愛いと思う。家を出て、施設に行きたいだなんて思わない。
けれど家へ帰るのがどうしようもなく苦痛だ。
今なら家に帰らなくなっていった親父の心境がわかる気がした。
あんな男だけにはなりたくないのに。ヘドが出る。
玄関のドアを開けた瞬間、いつもと何かが違っていた。
一が訝しみながらリビングに入っていくとソファに座っている弟が嬉しそうな顔で何かを頬張っていた。
「おい。何食ってんだよ」
一はテーブルに目をやる。
小さなテーブルの上にはおにぎりと味噌汁、それからサラダとエビチリが乗っていた。
どれも見覚えのない器に盛られていた。
「タク、どうしたこれ。誰が持って来た」
一はやや責めるように弟を睨みつけて言った。
弟は慌てて口の中の物を飲み込むと、一の様子に表情を曇らせた。
「お前うちのこと誰かに話したのか?話すなってあれだけ言ったのに忘れたのかよ!」

