サイレント

「金城さんに診てもらいたいんですけど」

「私は医者じゃないから」

「知ってます」

「ここは病院なの。先生に診てもらわないなら来ないで欲しいの。邪魔だから」

樹里はきつく言い放った。

昔の樹里では考えられないことだ。けれど、言わなきゃならない。

漆黒の瞳が樹里を見つめる。

「……今日で最後にします」

低く通る声。

「嘘だったら承知しないから」

「うん」

樹里は一が頷いたのを確認すると院長にことわって空いている方の診察室へ一を招き入れた。

一をベッドに座らせて自分は丸椅子に座る。

「胸が痛いならレントゲンでも撮ったら?」

「これはきっと精神的なものだからレントゲンは必要ないと思うよ」

二人きりになった途端一は敬語をやめてリラックスする。

「だったら診療内科にかかったら」

「必要ないよ。原因はあなただから」

一のその言葉に樹里は頭が痛くなった。

「ねえ、私たち別れたよね。言ったよね、私、別れようって。あれから二年だよ。私は28歳になった。見ればわかるでしょ?冗談や遊びで何か出来る年齢じゃない」

「知ってる。俺は17歳になったから」

「まだまだ未成年の学生だよね。ますます差が開いた感だけ強くなった」

「そうかな」

「そうだよ。頭おかしいよハジメくん」