軽く咳ばらいをして一は窓の外を見た。
いつ見ても寒々しい景色。中庭の池は雪に埋もれて噴水のオブジェだけがぽつりと立っていた。
相沢は一年の女子がいるからか、なかなか樹里に話しかけようとせず、窓にもたれ掛かるようにしていた。
一は目で「早くしろよ」と相沢を責っ付く。
その時、突然「あの」と上から控えめな声が降ってきて一は見上げた。
すぐ隣に一年の女子の一人が立っていた。
その娘は両手でピンク色のラッピングされた包みを抱えていた。
「あ、あの。芹沢先輩。これ貰ってください」
上擦った声で包みを差し出される。
一はその包みを見つめてしばらく考えた。
見なくても樹里がどんな様子でいるか簡単に想像がつく。
「……ごめん。いらない」
「え……」
その娘の顔が一瞬にして泣きそうなものに変わる。
樹里を泣かさないために他の女を泣かすのも嫌な気分だった。
今、この保健室の中で完全に一は悪役だった。
他の二人の女子が慌てて立ち上がり、その娘の隣に並ぶ。
「先輩、もらってあげてください!この子一生懸命作ったんです」
「もらうくらいいいじゃないですか!」
必死に訴えかける瞳が六つ。一に纏わり付くようだった。不意に今朝の被害者ぶった母の話し方を思い出した。
いつ見ても寒々しい景色。中庭の池は雪に埋もれて噴水のオブジェだけがぽつりと立っていた。
相沢は一年の女子がいるからか、なかなか樹里に話しかけようとせず、窓にもたれ掛かるようにしていた。
一は目で「早くしろよ」と相沢を責っ付く。
その時、突然「あの」と上から控えめな声が降ってきて一は見上げた。
すぐ隣に一年の女子の一人が立っていた。
その娘は両手でピンク色のラッピングされた包みを抱えていた。
「あ、あの。芹沢先輩。これ貰ってください」
上擦った声で包みを差し出される。
一はその包みを見つめてしばらく考えた。
見なくても樹里がどんな様子でいるか簡単に想像がつく。
「……ごめん。いらない」
「え……」
その娘の顔が一瞬にして泣きそうなものに変わる。
樹里を泣かさないために他の女を泣かすのも嫌な気分だった。
今、この保健室の中で完全に一は悪役だった。
他の二人の女子が慌てて立ち上がり、その娘の隣に並ぶ。
「先輩、もらってあげてください!この子一生懸命作ったんです」
「もらうくらいいいじゃないですか!」
必死に訴えかける瞳が六つ。一に纏わり付くようだった。不意に今朝の被害者ぶった母の話し方を思い出した。

