「何、もしや亜理子チャン幽霊マジでダメなの?」



少々驚き気味に言う奈留に、キッと軽く睨み、うるさいわね、と亜理子はそっぽを向く。どうやらその反応が面白かったらしく、奈留は亜理子の耳元で、呪ってやる、と声を低くして呟いた。



「ぎゃーっ!!」
「あ、亜理子っ。シッ!」
「だ、だって軌条くんが」
「奈留、お前なあ…止めろよ、そーゆーの。」



真樹がため息をつけば、奈留はだって面白くてさ、つい、と苦笑いを浮かべた。奈留の気味の悪い声に余程驚いたのか、亜理子は数分間ずっと泣きべそをかいていた。



「まず、どこ行く?」
「あ!じゃあ俺、保健室行きたい!…って真樹、鍵なきゃ入れねーじゃん」



なんだよー、とつまらなそうに言う奈留を見て、真樹はうっすらと笑んだ。その笑顔を見て少しだけ引きながらも奈留は、何?、と彼に問いかけた。



「合鍵、作った。」
「………マジでか」



すげえじゃん!やっべ、わくわくしてきた、とつまらない表情から一気に明るい表情を取り戻し、奈留は早く早く、と真樹を急かせた。



「…真樹、あんたどうやったの」
「へへ、教えない。こんなのはチョロいもんだよ。」



得意そうに笑って見せる彼に亜理子は感心しながらも、将来悪い道に進まないことを祈った。