「んあ?なんだお前ら、集合時間にはまだ早いじゃんか」



眠そうな顔を浮かべ、ラフなスタイルで登場してきたのは、奈留だった。波奈と亜理子は軽く挨拶を交わし、共に夜の学校探検を計画した張本人、真樹を待つ。



──丁度9時になりかけた時に、真樹はへらへらと笑いながら向かってきた。その両手にはなにやら大袈裟な荷物を持っていた。



「真樹、何それ?」
「ああ、懐中電灯とか、その他もろもろ」



メンバーが揃ったところでようやく、夜の学校探検の始まりだ。学校の校門近くの塀を乗り越え、防犯カメラに気をつけながら学校内へと侵入した。



「やっべ、ドキドキする。なんか俺ら強盗するみてぇじゃね?」



奈留がニタニタと面白そうに学校内を見渡し、控えめな声で言うのに対し、亜理子は波奈の腕を掴んだまま、いつ現れるか分からぬ、幽霊の存在に怯えていた。