扉の向こうから良一の声が聞こえる。
「明日香~、いるかぁ?」
「…。」
黙っていないふり。
「いるよぉ~。」
布団の中から声が聞こえた。
飛鳥ちゃん返事をするなよ。
「入るぞ。」
「ダメ!」
扉に全体重を預ける。
「今日はダメなの。お願いだから帰って。」
「うちのお風呂壊れちゃってさ。貸してもらったお礼に明日香の好きな駅前のドーナツ買って来たんだ。一緒に食べようぜ。」
「ド、ドーナツ…。」
そう、駅前のドーナツ。
チョコがタップリかかった、とろけるようなドーナツが私がこの世で一番大好きな食べ物なのよねぇ。
た、食べたい…。

