「あのさぁ、中学の時から言ってるけど、いくら幼馴染だからって少しは遠慮しなさいよ。」
「これでも遠慮してるよ。」
「一応、男子女子なんだからさぁ~。」
睨みながら平静を装う。
これでも心の奥は心臓バクバクして落ち着いて居られないんだから。
少しは感じ取れよ、良一のバカ。
「あ、9時だ、テレビ付けて。」
「はいはい。」
仕方なくリモコンでスイッチを押す。
話題になっていた歌番組が始まった。
この番組、クラスの男子達の視聴率100%なんだろうな。
司会者が順番に今日の出演者を紹介していく。
『今日は何と言っても、デビューしてまだ3ヶ月。100年に一度のスーパーアイドル、樋口飛鳥ちゃんが遊びに来てくれました!』
大袈裟な紹介と共に画面に映し出される。
『こんばんはぁ~!樋口飛鳥です。宜しくお願いしまぁす!』
膝上までのピンクのひらひらなスカートがとてもよく似合う。
色白な肌。
くりくりの瞳。
小さなアヒル口。
テレビを通して見たスーパーアイドル、樋口飛鳥は女の私から見ても確かに可愛かった。
私を含め、周りにいる同世代の女子達がとてもじゃないが適わないくらい可愛かった。

