「んん?」
この人。
上から下までじっくりと眺める。
見た事ある服装。
「あ!」
休み時間に教室から見えた不審者だ。
どうしよう、どうしよう。
怪しい。
怪し過ぎる。
目を付けられた?
私、何かした?
「明日香さん?」
「い、いやぁ。」
「明日香さん、どうしました?」
その人物は私に近寄ってくる。
周りを見渡すと、タイミング悪く誰もいない。
こんな日に限って良一と一緒に帰ってないし。
「あ、そうか!」
急に立ち止まって大きな声を出した。
「マスクしてたら誰だか分からないですよね!」
気付いた事が嬉しかったのか、元気な声を出すと右耳からマスクを外して微笑んだ。

