また、SNSはラインしかしていなかったのに、樋口飛鳥がフェイスブックをしている事を知ると、いち早くフェイスブックを登録した。
自分自身は何か投稿する訳でもなく、友達のページを見る訳でもなく、当然の事ながら樋口飛鳥のフェイスブックだけをチェックしている。
一日に何度も。
そのうち、ツイッターやブログ、ミクシィ、インスタグラムも樋口飛鳥が始めると全てやってしまうに違いない。
やってもいいのだが、それをいちいち私に報告されても困る。
困るどころか辛い。
100年に一度のスーパーアイドルに、普通の公立高校に通う女子高生が勝てるわけがない、からである。
それにしても、今まで意識していなかったから気付いていなかったのかもしれないが、街を歩いていると、樋口飛鳥を目にする事が多くなった。
スポーツドリンクのポスター、ファーストフード店のイメージキャラクター、電車の中の英会話の暖簾広告…。
やっぱり人気あるんだ。
少しずつ実感して来た。
「なぁ、明日香。」
「何よ?」
なにせ家が隣同士なので良一が部活休みの時は一緒に帰る事が多い。
「何故、あすか、って名前なんだ?」
「それは、明日が香る、明日も明後日もずっと周りを華やかにする子に育って欲しいってお父さんが…。」
「違う違う、飛鳥ちゃんだよ。」
「知らないわよ。」

