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「で、何で男子トイレの前で座り込んでいたんだ?」
「お願いだからその事は忘れて。」
良一が自殺するかも、と思ったからなんてとてもじゃないが本人に言えない。
「いくら女子トイレが混んでたとしても、男子トイレを使うようになったら終わりだぞ。」
「はい…。」
その理由で収めている方がまだマシだ…。
「んじゃ、帰るぞ。」
夕日が眩しい帰り道をいつものように良一と並んで歩く。
チラリと横顔を見る。
いつも通りの顔をしている。
カッコいい、優しい横顔。
「ん?何だよジロジロ見て。」
「い、いやぁ何でもない。」
「今日の明日香、なんか変だぞ。」
「そうかなぁ…。」
受け答えは普通だ。
どうやら良一は飛鳥ちゃんのスキャンダルをまだ知らないようだ。
「き、今日は家に来るの?」

