名は愛をあらわすっ!?



樋口飛鳥が出演した歌番組が終わった。


「もう、早く帰ってよ。」


興奮冷めやらぬ良一を帰らそうと促す。

今まで、たまにテレビを見に来る事があった。

それは小学生の頃からで、私の両親も、良一なら、と言う事で歓迎していた。

実際、私も自分の部屋で良一と2人きりでいる事を嬉しく、幸せに思っていた。

しかし、今日は違う。

幼馴染の樋口明日香ではなく、スーパーアイドルの樋口飛鳥に夢中の良一をこれ以上見たくないし、一緒に居たくない。

ただただ、辛いだけだから。


「あすかちゃん、確かに可愛いいなぁ~。」


「歌番組終わったよ、早く帰ってよ。」


「それに比べて…。」


全て言い終わる前に良一の口元を思いきり押え付けた。

お願い、それ以上言わないで。

クラスの男子達に言われてもなんとも思わないが、良一にだけは言われたくない。

ホントに泣きたくなってきた。

そんな私に気付いたのか気付いていないのか、良一は押えている私の手を払いのけて、ボソッと呟いた。