すうっ。
息を吸うと微かに春の匂いがして、胸の奥がふわっと軽くなるようなそんな気がする。
日差しが暖かい。
周りの人たちはやけにテンションが高くて、新年度に期待を寄せているようだ。
「花鈴っ!早く行こうよ!」
後ろから名前を呼ぶ声が聞こえた。
春香だ。
私は後ろを向いて大きく手を振る。
「はるかあっ!」
そう大きく呼びかけると、春香はいつものようにはにかんだ。
春香は早めにこちらに走ってくる。
揺れるスカートの裾がやけに短い。
そうか、もう私たちは先輩なんだ。