ずっと黙っていた宮くんが口を開いた。
「好き嫌いとかじゃねぇ…ただ、考えてることがわからねぇんだよ」
「思ってるよりも単純だよ。理解できるかできないかじゃなく、しようとするかだ」
風が、窓際に立っていた宮くんから、ドア側の理事長へと吹き抜けた。
絵になるなぁ、この2人。
「俺はずっと、期待される兄貴が…兄貴に嫉妬してて、」
いつも無口でクールを貫く宮くんが、ぽつりぽつりと、自分の気持ちを話してる。
珍しいことだから驚いてるけど、嬉しくもある。
いつもみんなにテキパキと指示する宮くんしか見ていないから、人間らしい1面を発見できた。
宮くんは庵くんには負けているけど、僕らには弱い部分を見せてくれないから。
これも忍ちゃんが来てくれたから、だね。
「可愛がられ方の問題だよ。
お前と俺じゃあいくつ違う?お前は末っ子で、俺は長男。接し方に差があるのは、どの家もよくあることだ」
理事長は近くにあった椅子に腰をかけて、スラスラと、まるで当たり前のように話した。
当たり前のように、って言うよりも…理事長のなかでは当たり前なんだろうな。


