偽りだけの城





「瞳が困ってるよ。今にも泣きそうな顔で」


えぇ!?僕を巻き込まないでよー!

とは口に出して言えないけど。


表情だけでなんとか庵くんに訴えてみる。




「話さないと進まないからね?なんのために姫が理事長を呼んだの」


「……」


口を開けて何か言いかけた理事長は、威圧に負けたのか黙ってしまった。

庵くんって権力あるよね…



っていうか庵くん、忍ちゃんのこと、姫って呼ぶことにしたんだね。


『忍ちゃん、これ運んでくれる?』


…確かに想像できないけど。

なんで忍ちゃんが庵くんに使われてる場面だったんだろう?



ちなみに今僕は、理事長と庵くんの兄弟説について考えている。


あるわけはないんだけど…こんな兄弟いそうだな、って思ったというか。


庵くん一人っ子だけど。



「宮火は、嫌いなの?」


庵くんならではの単刀直入すぎる発言。

聞いてるこっちが怖くなる、とはこのことを言うんだろうな。鳥肌ものだよ。



庵くんは恐れていないんだね。


人の心に土足で踏み込んで、その中を荒らしてしまうことを。


淡々と言葉を連ねていく庵くんは、感情のない無表情だった。