好きな人と結婚する。
そんな夢も、普通の人なら夢じゃない。
だけど、私は夢で終わるのかもしれない。


理由はただ一つだった。



“生まれつき身体が弱い”


「玲華、薬はいつなくなる?」

「明々後日でなくなる」

「じゃあ、明日またもらいに行きましょ」

「はぁい」


薬は毎日朝昼晩、3錠の薬。
苦いけれど、最近やっと慣れた。

これを欠かさないこと。
そうすれば私は、きっと死なない。
私はそう信じて、飲み続けている。


「玲華の薬、バカにできないくらい高い薬なのよ。ちゃんと飲んでる?」

「飲んでるよ。飲めば死なないんでしょ?」

「ええ、そうよ。」


お母さんは私の死ぬ死なない、そんな質問にさえテキパキと答える。
そんなお母さんが、どこか怖かった。

いや、本当は信頼していた。
『わからない』。もしお母さんがそう言ったら。
どんなに不安になることかと思うと、ありがたい。