「あなたは生まれつきの心臓病なの。」


息が苦しくなった。
目の前がクラクラとまわる。


「…心臓、病…?」




「そうよ。なかなか言えなかったの。」


お母さんは、わざと言わなかったの。
お母さんは、言えなかったの。


「…あなたにはもう、わかっててほしい。」

「私、死ぬの?」

「死なないわよ、きっと。」



きっと…?



「きっとって、何?」

「医者でもない私が、絶対なんて言えない。」

「…ハッキリ言ってよ、私死ぬの…?」

「死なない、死なないよ。」


お母さんは初めて私の前で泣いた。
ぽろぽろと涙を流した。

透き通った小さな涙の粒だった。