ビデオテープに残されていた私の“発表会”。
小さいときの夢を語る、私の姿が映し出される。


『私の夢は、好きな人と結婚することですッ』


大きな声で明るく発表した6才の私。
今思うと、こんなもの恥ずかしい。


「こんなこともあったっけねぇ…」


となりでお母さんが、懐かしそうにビデオを見る。
お父さんは、顔を赤らめていた。
きっと、好きな人と結婚する、だなんて私が言ったからだ。


「さぁて、夕飯の準備でも…」


お母さんが、立ち上がった。
お父さんは、ビデオテープをとり出した。

これが家だった。
幸せな家庭の、いつもの日々だった。