「ん……」

 目を覚ますと同時に頭が痛んだ。思わず開きかけた瞼を下ろす。このまま眠ってしまった方がきっと楽なはず。

 ズキズキする痛みから夢の世界に逃げてしまいたい。

 しかし、扉の開く音に耳が反応してしまった。

 もう少しで眠りに落ちそうだったのに、と頭の中で舌打ちする。

「まだ起きないのか?」

「みたいだな。脳に異常はないって話だったけど」

「あー。顔面に思いっきり当たってたもんねえ」

「だーかーらー、しょうがなかったんだって。猫が急に飛び出して来てさー」

「それはわかったって。起きたもんはしょうがねえし、特に大きい怪我はなかったんだからさ。それより問題はこれからのことだろ」

「わかってるよ。責任を取って」

「ん? 起きたのか?」

 え、何でバレてるの? 少しも動いてなかったはずなのに。