「あ、の…?」 俺の腕の中で、彼女が小さく身じろぐ。 控えめな声には、微かに戸惑いの色が浮かんでいた。 全身衣装に身を包みヘルメットまでかぶっているヒーローの正体が、とっくの昔に別れた男だなんて 彼女が知るはずもない。 それでも、良かった。 ーーー 好きだ ずっと、 好きだ。 言葉に出来なくても。伝わらなくても。 今、ここでこうしている事。 それは俺にとって全てだった。