「ごめんね、奈々姉が。」 「別にいいよ。 仲良い兄妹だな。」 「そうかな。」 「ああ、羨ましいよ。」 「結城はいないの?」 「一応はいる。」 一応…? その言葉がひっかかったけど、 あたしはなにも聞かずに、"そっか"って返した。 「今日はありがとう。 また明日ね。」 「突然押しかけて悪かったな。 じゃあ、また明日。」 あたしは玄関で、結城が見えなくなるまで見送っていた。