「あ、室田…?」 建物のかげからのぞいていると、結城にバレてしまった。 慌てて逃げようとしたけど、手首を掴まれてしまう。 「今の、聞いてた?」 「…うん、ごめん。」 結城とは、目を合わさずにうつむいたまま謝る。 「顔あげろ。 別に気にしてないし。」 「…うん。」 あたしは恐る恐る顔を上げた。