「相手が妃那なら、疲れとか気にしねぇから」



頭をポンポンと撫でながら笑う彼を見て、胸がキュっと締め付けられる。



私、絶対顔真っ赤だよ…。



嬉しい。


嬉しい。




「ありがとう」


「お礼されるようなことしてねぇけど」




ううん。


十分してくれてるよ。




「っと、そろそろあいつら来る時間だな」



時計をみると、もう15分。

あと5分で電車が来てしまう。



離れなければならないこの瞬間が、いつもツラい。


寂しい、離れたくない。



そう思うから。


でも。




「妃那、また明日な」



そう言って綺羅くんが、いつも私の頭を撫でてくれるから。


笑ってくれるから。



また明日。



また明日会える。


綺羅くんのその言葉ひとつで、私は元気になれる。



「うん、また明日ね」



私の頭から手を離し、ホームに向かって歩いていく綺羅くんの背中を、見えなくなるまで見てから私もホームに向かう。