「あれ、綺羅いるじゃん」


「何してんの、こんなとこで」




こいつらに妃那のことは言いたくねぇな。

早くも独占力かよ、俺…。




「何もしてねぇよ。今来たとこだし」


「そうなん?あ、さてはいい女探してたな!?」


「ざけんな」




啓太の頭を叩く。


何で俺がいい女を探さなきゃなんねぇんだよ。



「…もう見つけたっつーの」


「え?何か言った?」


「何でもねぇよ、坊主くん」


「おい、俺は坊主じゃねぇ!よく見ろ、髪生えてんだろうが!」


「ははっ」




必死に坊主を否定する祐武に笑いながら、妃那のことを考えた。



…また明日、会えるかな。



電車がホームに入ってくる。




ふわっと笑う妃那の笑顔を思い出しながら、俺は電車に乗り込んだ。