side 妃那



ピピピ……ピピピ…




「んー…」




目覚まし時計の音で目を覚まし、半分寝ぼけたまま右手を伸ばしてアラームを止める。



5時半…。



……5時半かー…。




「……5時半!?」




私は時計の針を見て飛び起きた。


遅刻しちゃう!!




いつも5時にセットしてるのに、どうやら昨日の夜、間違って5時半にセットしてしまったらしい。




私は急いで制服に着替えた。


グレーのブレザーに、膝上の水色のチェックスカートとネクタイ。



この制服はこの辺りで一番有名な進学校のもの。


必死に受験勉強をして、なんとか合格できた。


ちなみに高校生になったばかりで、今は4月。



まだ桜が咲いている時期だ。




制服に着替え終えて階段を駆け下り、そのまま洗面所に向かった。




「妃那!朝からうるさいよ!」



「しょうがないじゃん!時間ないんだから!」




お母さんの叱る声は無視。

だって本当に急いでるんだもん。