どこでもいいから触りたいというオーラが血走った目や伸ばされた手に表れていて、俺は思わず一歩下がった。


下がったとたん、おしりに箱が軽くぶつかった。


ハッとして後ろを見ると、そこには別の果物の箱が積まれていて、俺の逃げ道をふさいでいる。


前方にはおばちゃん、後ろは箱。

逃げ場、なし。



これは…ヤバイ。



俺の直感がそう告げている。


俺はとっさにイチゴの入っていた段ボールの空き箱を自分と迫りくるおばちゃんたちの間にはさんだ。


わずかながらおばちゃんたちとの間に空間ができたものの、伸ばされた手が容赦なく迫る。



絶対絶命。



ど、どうすれば…!
考えろ、考えるんだ、俺!!