学ランを脱ぎ捨て、高校のブレザーにそでを通す。
俺は全身鏡に片手をつき、そこに映る自分を見た。
髪はふわふわなのは自前。しかしそれだけではただのボサ頭。
それをワックスで無造作ヘアに作り替え、さらに冴えない眼鏡をはずしてコンタクトに。
服も少し着崩し、第一ボタンをはずしてネクタイを緩く結ぶ。
これだけで中学までの野暮ったい地味な自分とはおさらばだ。
うん、なんだろう。
ほんの少し大人になった気分っていうの?
前とは違う自分になれたような気分がする。
「翔(ショウ)、何してるの、遅刻するわよー!!」
満足気に鼻を鳴らしていたら、下から俺を呼ぶ母親の声がした。
時計を見ると…おおっと8:20だと!?
ヤバい、遅刻する!!
俺はバタバタと家を飛び出した。