「えっ…?」
「だって、無理だよあの家は…。あの子の兄、蒼都(あおと)と友達だったけど…守れなかった。」
「…守る?」
拓馬さんは華南椰ちゃんのお兄さんのことを話してくれた。
容姿端麗、成績優秀、運動神経抜群、人当たりもよく……みんなが憧れる人だったらしい。
だけど、ある日妬んだマーキスのごく一部の人が彼を交通事故に遭わせてしまった。
彼らは「あんなことになると思わなかった。」と言っていたらしいけど…
「それが彼女がこの学園に通っていた初等部の話。中等部からは違う学校に行っていたらしいんだ。イギリス…だったかな?」
「でもどうしてまたこの学園に?」
「家柄上の問題なんじゃないかな。一族に繁栄をもたらす御子息がここにはゴロゴロといるからね…。無理やり入れられてしまったみたい。」
言われてみれば彼女に似合う家柄の人たちがここにはたくさんいた。
例えば、かの有名な徳川家の一族やインドの王子とか……。


