「あ、おかえりなさい。ご飯できてるわよ。」


お風呂から上がると麗子さんがお味噌汁を抱えて話しかけてきた。


「あ、ありがとうございます。あの…お兄ちゃんは?」


どこを見渡しても兄、聖十の姿が見当たらない。


「…出て行った。」


叔父さんが静かに言う。


「えっ!?出て行ったって…どこに?」


「寮に帰ったの…。止めたんだけど…新しい家族の邪魔は趣味じゃないなんて言って…」


「えぇ!?そ、そんな…私電話してきます!!」


カバンからケータイを取り出してお兄ちゃんというリストを探す。


「先にご飯食べちゃいなさい真琴。」


「そうよ。冷めちゃうわよ?」


「麗子のご飯は覚めたら美味しくなくなるぞー」


そう言って笑う。


「…はい。いただきます。」


並べられている肉じゃがに手を伸ばす。